「ヘンタイ・プリズン」はゲームブランド『Qruppo』から発売された作品で、絶海の孤島にある監獄で繰り広げられるプリズン脱獄ADVです。
常夏の島を舞台にした前作「抜きゲーみたいな島に住んでる貧乳はどうすりゃいいですか?」とは打って変わって、極寒の地が舞台となっています。
ヘンタイ・プリズン | |
発売日 | 2022年1月28日 |
値段 | 9,680円 |
ブランド | Qruppo |
更生不能なヘンタイだけのプリズンへ
物語は主人公である「湊柊一郎」が度重なる露出行為で懲役10年の判決を言い渡されるところから始まり、監獄で柊一郎を待っていたのは看守による厳しい懲罰や見せしめ、囚人による虐めなどでした。
それはプレイヤーの想像通りの過酷な監獄で、ひしひしと緊迫感が伝わってきます。
モブも含めてキャラクターの個性がかなり強く、ヤバイ場所に来てしまったことを再確認させられました。
しかし、話を読み進めるうちに個々のキャラクターや監獄への理解度が深まっていき、柊一郎を通してプレイヤーも監獄の一員として徐々に馴染んでいきます。
更生プログラムをきっかけに協力という形でヒロインたちと親しくなり、彼女たちの抱える問題を知った柊一郎は問題を解決するため、あの手この手と奮闘し、時には看守たちとも手を結びます。
始めは協力関係だった柊一郎とヒロインですが、次第にお互いの隣に自分の居場所を見出し恋人関係へとなっていくのでした。
ヘンプリの肩書が強すぎるキャラクターたち
監獄が舞台ということもあり、登場人物は囚人と看守たちがメインとなります。
メインのヒロイン3人は爆弾魔の「千咲都」、盗撮魔の「紅林ノア」、任侠団体の組長の「波多江妙花」と中々見ることができない二つ名が付いたヒロインたちです。
囚人を管理する看守長たちは、力ですべてを支配しようとする「夕顔」、宗教による矯正をするシスター「ジュリア」、規律を重んじる「ソフィーヤ」と野心も隠さないキャラたちとなっています。
もちろんメインの3人も可愛いのですが、それ以上に看守長の1人ソフィーヤが良いキャラをしています。
主人公の房の看守長ということもあり、物語が始まってすぐから登場し懲罰や管理で厳しく接してくるキャラとなのですが、そのため共通ルートくらいだとメインヒロインたちよりもヒロインです。
個別ルートに突入してからも、奇行をする柊一郎たちの問題に巻き込まれたり、同じ看守長の夕顔とジュリアなど周りから弄られたりとなにかと不憫で応援したくなりました。
サブキャラや一言二言しか出番がないモブたちもインパクトがあり、お気に入りモブができるくらいに賑やかで楽しいキャラたちばっかでした。
自己表現とそれに影響を受けた人たちの話
ルートはヒロイン3つとグランドルートで計4ルートとなります。
テキストは下ネタ中心でギャグはパロディやネットミーム多めですが、元ネタを知らなくてもそれはそれで楽しめると思います。
全体的にふざけるとこはとことんふざけて、締めるとこはきちんと締めるといった印象のテキストです。
私としては妙花ルートが気に入っており、地下で下ネタパロディカードゲームを流行らす展開があり、その頃有名カードゲームのアプリがリリースされたばかりというタイムリーさに笑わされました。
そんなシノギに始まり、恨みを買っていた団体との対立、その裏で勢力を広げるジュリアと真の敵に向かって少しづつ進んでいく展開も面白かったです。
これまで組員という家族のため強く在った妙花が、孤立させられていくことで本当は絵を描くことが好きな弱い少女としての姿が見せます。
それでも、自分を信じてくれる者のために再び立ち上がれる妙花とそれを支えるため強くなろうとする柊一郎の関係性がとても好きになりました。
物語全体を通して、これまで全裸で自己を表現してきた柊一郎が全裸以外での表現を知ることとなります。
押さえつけられても自己を表現し続け、それは他人の受け皿であった人や理解を押し付けていた者、表現を諦めていた者、受け取った者の心を揺さぶる動かす力になります。
他者からの拒絶などそういう様々な問題を抱えながらも、自分を理解してくれる人々の存在などに強く触れている作品だったように感じました。
奇抜な設定付けの為の囚人設定ではなく、被害者や更生できないものといった部分にもちゃんと触れていて、キャラたちがそれに向き合っているのも好印象です。
ただ、グランドルートの序盤がヒロインルートで解決した問題をもう一度解決しなおすような内容になっているので少し退屈に感じました。
世界観に合わせたグラフィックとキャラの魅力が光るヘンプリエロシーン
舞台が孤島にある監獄であるためか、全体的に監獄の冷たいイメージに合わせた暗めの色で描かれていてとても世界観にマッチしています。
エロシーンはメインヒロインごとに大体5シーンずつ、サブキャラクターや複数人でのシーンなどが7シーンほどあります。
シーン自体はいちゃらぶがメインで、そのキャラがやりそうと思えるシチュエーションですごく良いです。
クオリティは高いもののギャグを挟んできたりするのでヌキの実用性はそんなに高くはありません。
ただギャグを入れることでキャラの魅力をより高まってるシーンでもあるので、しっかりとした満足感を得ることができる内容に仕上がっています。
遊びやすくなったヘンプリのシステムと進化した演出
本作は共通ルートに選択肢を無く、共通ルートの最後でキャラクター選択画面が出て個別ルートへと入れるようになっています。
これにより、前作とは違い共通ルートを何回も見る必要がなくなり、快適に次の週へと行けるようになりました。
システム面もバックログからのシーンジャンプや気に入った音声のお気に入りなどが追加され、読み直しも簡単です。
演出面では、メインとなるキャラが喋ってる裏で別のキャラが喋る演出などが追加され、読み直す手間はありますがリアルタイムでの会話感が強くなっていたのも良かったです。
明るいバカなノリとテーマを大事にした真面目さが垣間見れるヘンプリ
クリアまで30時間ほどのボリュームとどっぷりと世界に浸れて、主人公とヒロインだけでなくサブキャラにまで愛着がわきます。
共通は長すぎず、個別は短すぎるキャラもなく丁度いいバランスでした。
下ネタやパロディの明るいノリと勢いだけでなんとかするわけでなく、キャラクターが抱える問題や明確なテーマにもしっかりこだわって作られていました。
新しい演出の導入やプレイしやすさの改善などより快適度も高くなったのもよかったです。
ただ、本作から始めても問題なく楽しめますが、前作ネタも多くあるため前作をプレイしているとより楽しめるといった内容となっています。
テキストのノリも好みが出てしまうものなので、先に体験版をプレイするのをオススメします。
万人受けはしないかもしれませんが、ギャグシナリオを楽しみながらほどよくシリアスな展開も楽しめるオススメのゲームとなっています。
ヘンタイ・プリズン | |
発売日 | 2022年1月28日 |
値段 | 9,680円 |
ブランド | Qruppo |
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