ホストの彼を略奪したリアルな話

リッツさん（20代）女性　からのいただいた体験談です

私が運命の相手を見つけたのは22歳の秋でした。
その頃は、周りが結婚ラッシュということもあり、私自身の中でも結婚へ向けても願望とても強くなっていました。
細すぎる体型がコンプレックスの私は、自分自身に女らしさをなかなか感じられず男性に対して奥手な日々が続いていました。

しかし、このままではいけないと思い、まず出したのが「PCMAX」というネットの出会い系サイトでした。
このときの私の目標はあくまでも男性に対する免疫をつけることでした。
ネット上での出会いというのはどうしても胡散臭く感じてしまい、本気の恋なんて見つからないだろうなと思っていたのです。

ネットに登録してからはいろいろな男性とやり取りをしました。
画面越しの相手は気軽に「会おうよ」と言ってくれるけれど、自分の中でまだネット世界への抵抗感があったり、そこまでピンとくる男性に巡り合えていないと感じていたので、男性からのせっかくの誘いを断る日々が続きました。

そんな私に転機が訪れたのはスーツ姿で映った写メをくれた男性との出会いがきっかけでした。
見るからに派手な格好をしているその男性は、Janne　Da　Arcのyasuさんのような身なりをしていていました。
そうした格好を見たときに「チャラそうな人だな」と思ったのですが、自分と世界が違い過ぎているため、「こういう人はどんなことを考えているんだろう」と興味が湧いたので、メールを続けることにしました。
すると彼は自分の職業をホストだと名乗りました。
私は「こういうところでお客さんを捕まえているんだな」と納得し、彼にそう返信をしました。
すると彼は「客よりも癒しがほしい(笑)」と返してきました。
そんな会話に「もしかしたら私の反応を見ながら客にできないかどうか見極めているのかも？」と思いましたが、世界観の違う彼とのメールが楽しくて、気づけば彼からのメールが私の唯一の楽しみになっていました。
彼は親しくなると源氏名ではなく、本名と本当の年齢を教えてくれるようになりました。
最初は私と同じ22歳だと言っていた彼は、実は25歳でホストの世界を止めようかどうか本気で悩んでいるようでした。
私も彼の話に耳を傾けながら、昼間の職業のデメリットやメリットを一緒になって話し合いました。

そんな日々が1ヶ月ほど続いたある日、彼が突然私に「もうそろそろ俺は会いたいんだけど、どうしたらいい？」というメールを送ってきました。
私は戸惑いました。
お互いに写メで顔は知っていましたが、所詮写真です。
相手も写メ通りとは限らないし、何よりも私自身が自分に自信がなくて幻滅されるのがイヤだなと思いました。
そんな私の気持ちを伝えても彼は「いまさら顔を知ったところで幻滅なんてしないよ」と誰でも口にしそうな甘い言葉を言いました。
私の心は激しく揺れましたが、何よりも私の中にも彼に会いたいという思いが知らないうちに芽生えていることに気づいたので、「わかった、会おう」と返信をしました。

そして、そんな話をした1週間後に私はとうとう彼に会うことになりました。
場所は彼が前日仕事だったこともあり、私が彼の地元まで電車に乗って向かいました。
電車に揺られて1時間ほど経つと、彼が住んでいる街に着きました。
駅で待ち合わせだったので「今着いたよ」というメールをおくってキョロキョロしながら彼の姿を探しました。
すると後ろから誰かに肩を叩かれ、振り返ると彼が立っていました。
写メで見たときよりも髪色は派手になっていましたが、私に向けてくれる人懐っこい笑顔が印象的でした。
それからは二人でカラオケに行って、ひたすらどんちゃん騒ぎをしました。
そしてカラオケで4時間ほど歌った後は、彼が頼んでくれていたレストランでディナーをしました。
ホストという職業を忘れて私は人懐っこい彼が好きになりそうでした。
しかし、そんな思いを抱いているときに、私は悲しいことを聞かされたのです。
「ごめん、実は俺いま彼女がいるんだ」と。
私は「だったら最期まで隠し続けてほしかったのに」と私が言うと彼は複雑な事情を説明し始めました。
彼の話によれば、今付き合っている彼女はもともとお客さんだった人で1年くらい前から気持ちがもう全くないけれど、その彼女で自分はNO１を維持できているから簡単に別れられないという話だったのです。
彼の事情も分かりますが私はそれよりも騙されていたような気がして彼に「もうこれっきり会わないようにしよう」と言って、その場を飛び出し、電車に乗り込んで自分の家に帰りました。
そんな別れをした後、一人で部屋にこもっていると彼から「俺、まだ言ってないことがあるんだけど言ってもいい？」と電話がかかってきました。
私が「まだ嘘があるの？」と尋ねると彼は「そうじゃない。俺、君のことが好きなんだ。今日会って改めて気づいた。ちゃんと今の彼女とは別れるから、こんな俺でよかったら付き合ってほし」と言われました。
私は半信半疑でしたが、自分の中でも彼の存在が大きくなっていることに気づいていたので、「本当にちゃんと別れてくれるなら」という条件で彼と付き合うことに決めました。

その後、彼がその彼女と別れるまではお客さんにも今カノにも見られないようにデートの時でも手を繋がなかったり、私からは電話ではなくメールのみで留めるようになりました。
彼の仕事が忙しかったこともあり、デートは月に１回会えればいい方でした。
デートで行く場所はもっぱらカラオケ店かホテルでした。
私はある程度の覚悟をしてホテルにはいりましたが、彼は「ちゃんと別れるまでは手を出さない」と言って私に優しくキスをするだけで、体の関係を持とうとはしませんでした。

そして２ヶ月が経ったある日、彼が私に電話をかけてきて「いますぐ会いたい」と伝えてきました。
それから２時間後、彼が私の街まで来てくれて「やっと彼女と別れられた」と言いました。
私がありがとうと伝えると、彼は私の手に指輪をはめて「ちゃんとしたいからホストもやめてきた。いままで待たせた分幸せにするから、俺と結婚を前提に付き合ってほしい」と言ってくれたのです。
その日から私たちはちゃんとした彼氏彼女になり、彼も慣れない昼間の職業を頑張ってくれました。

あれから１０年経った私の隣には、あの頃の派手さを感じさせないほどおっとりとした彼と彼に似た男の子がいます。
出会い系から始まった略奪愛恋でしたが、私はネット上でしか見つけられない出会いに巡り合えたような気がします。